眼底疾患の内科的治療

 高血圧がある場合心臓疾患や脳梗塞などの危険性は知られていますが、血管組織である網膜にも障害が起こることはあまり知られていません。内科と眼科が併設している当院では両科にかかっていらっしゃる患者さんも多く、眼底画像などから眼科と内科的疾病との関係の研究をすすめております。
 院長の土屋は第26回血圧管理研究会において最優秀賞である「日野原重明賞」の受賞をはじめ、第5回臨床高血圧フォーラムのシンポジウムにおいて会長指定演題の講演も行うなど、積極的な講演・発表活動を行っております。
 その研究成果により、2019年4月日本大学医学部眼科兼任講師に任命されました。今後も大学と連携し、さらに研究をすすめて参ります。

 医学誌掲載
 ●月刊「血圧」10月号(2018年) 院長 土屋徳弘   「血圧変動に伴う網膜静脈変化と黄斑浮腫変化  ―網膜は血圧変動による血管  障害を直接観察できる臓器―」
 ●月刊「日本の眼科」89:10号(2018年) 院長 土屋徳弘 名誉院長 戸張幾生   「高血圧・動脈硬化と網膜静脈閉塞症」
 ●日本臨牀 78巻増刊号2(通巻1180号)(2020年)「高血圧学(下)-高血圧制圧の現状と展望-」  日本臨牀社 XⅡ.合併症を伴った高血圧  7.眼科領域から高血圧治療へのメッセージ:網膜静脈閉塞など
 ●「あたらしい眼科」Vol.37 No.10(2020年10月号) p146  原著論文 「 網膜静脈閉塞症発症とコントロール不良高血圧の存在─仮面高血圧を考慮して 」   土屋 徳弘・戸張 幾生・宮澤 優美子・西山 功一・田中 公二・森 隆三郎

 体の中で唯一直接観察できる網膜の血管を見ることにより、眼底疾患はもとより仮面高血圧 ※ を含む高血圧・糖尿病・動脈硬化などの内科的疾病(生活習慣病)を発見し、厳格な血圧管理等の内科的治療をすることで、眼疾患の発症を防いだり諸症状を改善する治療を積極的に行っております。

 眼が見えにくいなどの症状があるけれども、眼科での外科的治療をするまでには至っておらず様子をみている方、内科で診てもらってと言われたことがある方、網膜静脈閉塞症(RVO)に伴う黄斑浮腫の硝子体注射を繰り返している方、生活習慣病での眼疾患や失明を防ぐため、まずはご相談下さい。

※ 仮面高血圧・・・白衣高血圧は知られていますが、逆に診察時測定血圧は正常であるにもかかわらず、早朝・ストレス時などに高血圧となるなど、血圧の変動性があること。毎年の健康診断では高血圧と言われたことがない方でも、家庭血圧測定により診断がつきます。仮面高血圧の方は、診察室高血圧の方と同様に脳卒中や心血管疾患の発症頻度が高いことが分かっています。